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2009年11月30日

坂の上の雲~自己流司馬遼太郎論

この小説の内容は明治海軍を褒め称えること、
ロシアに対する私怨プンプンの怒りをぶつけること、
そして旅順攻略戦における大損害の責任を乃木と伊地知に押し付けること、
以上の3つ以外に何もない。
……正岡子規? ああ、そんなのあったね(笑)

私は司馬遼太郎という作家についてプラスマイナスゼロと評価しているのだが、
この小説に関しては胸を張ってマイナス側だと言い切れる。
あまりにも小説の内容に作者の『感情』が出すぎているのだ。
物語の筋を完全に見失う程に。
何の感情もこもっていないフィクションは無味乾燥なものだが、
『作者の考えを主張することそのものを目的としたフィクション』は有害無益である。
明治ヨイショのプロパガンダ小説と言ってもいい。

日本海軍サイコー思想の啓蒙や、
ネチネチしたロシア貶しについては、度が過ぎてうっとうしいだけなのだが、
乃木観についてはかなりの疑問を感じる。
私自身は軍事オタクでも歴史オタクでもないので、
乃木という人物の来歴やら人間像やらをどう描こうが知ったことではないけれど、
一つの作戦における損害の責任をその二人に押し付けようとしている姿勢が気になった。
彼らの能力が司馬の描写通りであったとしても、
そもそもそのような無能どもが幾万という兵の生命を左右する立場になりえたのは、
藩閥思想が横行する明治政府そのものに原因があるのではないか。
「藩閥にとらわれず有能な人材を登用する明治政府の素晴らしさ」はマメにアピールしていたが、
「将に将たる器でない者が分不相応な役職に抜擢される藩閥政府の歪み」については、
あまり積極的に描いていないように思われた。
まして、司馬は乃木に対する描写について、
『これが事実だ』と言わんばかりのコメントを残している(あとがき四)。

身も蓋もないことを言うと、私は『司馬史観』という用語についても、
その内容についても少々ばかばかしく感じている。
自分の小説が「事実に拘束されることが百パーセントにちかい」と考えるのは結構だが、
そうであるのならば自身が一旦書いた内容についてもっと責任を持って欲しい。
『外交』において伊藤博文が林の説得により親ロシア方策を一瞬で蹴ったにも関わらず、
次のページからそのやり取りがなかったものとして話が進んでいるのは何故なのだ?
(露都行きをいきなり投げようとして林に諌められたほどの伊藤が、
 次のページには親露方針積極派に逆戻りしている。
 また、伊藤は露都行きの目的を『対英交渉の一手』に切り替えた筈なのに、
 『外交』の最終ページではそれを「伊藤自身にとっておもわぬ効果」と描写している)
別の小説の例も挙げるならば、『最後の将軍』16章において、
岩倉具視の慶喜観が1ページで逆転しているのは何故なのだ?
(慶喜が辞官納地を受けるかもしれない、と言われて
 「おそらく、そうやろな」⇒「慶喜はそこまで思い切るまい」
 ……どっちだよ!?)
小説家が自身のイマジネーションから創作した部分の帳尻さえ合わせられない人間が、
正確な資料に基づいた歴史的事実の描写などできるのだろうか?
『スピンダブルアームをかけられるジェロニモを見て驚くジェロニモ』
を描いたゆでたまごとレベルが大差ないように思えるのだが。


私個人としては、『梟の城』や『燃えよ剣』や初期の短編など、
伝奇小説的側面が強い作品については高く買っているのだが、
中期以降の『資料の転載』に特化した作品群については読む時間が無駄と思っている。
この小説もまた然り。
『司馬史観』という言葉に知識人(笑)の方々のみならず、
司馬自身さえも踊らされていたように私には思えてならないのである。

2007年11月27日

ジョジョ小説を読みきった

というわけで、夜更かしして読みきりましたジョジョ小説。
結論から言うと……

『とても面白い』

内容であった。
最も、ジョジョだから面白いとかそういうわけではなくて、
乙一氏自身の味による面白さがほとんどではあるが。
今回の肝となる『ビルの隙間にはさまったままで生存していた女性』のストーリーは、
別にジョジョ設定を使わなくても十分書ききることができたであろうし。

……結局全編通してキャラの口調は変だった。
しかし、原作ではほとんどやられ役だった億泰を、
あそこまで活躍させた点は高く評価したい。

2007年11月26日

ジョジョ4部小説を買った

というわけで、やっとこさ出た乙一著のジョジョ小説を購入。
早速ある程度読んでみる。

………
……

康一の一人称が『ボク』……(正しくは『ぼく』)
康一のモノローグにおける露伴に対する呼称が『岸辺露伴』……(正しくは『露伴先生』)
……スゴイ違和感。
この時点で、もうこの小説は原作ジョジョとは全くの別物だな、
と考えるべきだと気がついた。
凄く細かいことなんだけれども、
『キャラの口調をキチンと合わせること』
って、キャラを描く上で凄く大事な事だと思うんだよな。

とりあえずは最後まで読んでみることにする。

2007年06月10日

王様の耳はロバの耳

……半年間黙秘してきた秘密を、よーやっと声を大にして言える……
そんな気がします。

なんというか、こういう秘密って、
言っちゃダメなんだけど、だからこそ思いっきり言いたくなってしまう。
しかし昨晩、情報元のMAJI君からもうそろそろ解禁? みたいなメールが来たので……
とりあえずMAJI君のOKが出ればぶちまけようかなあ、と。

というか、昨日の時点で一部の人間には公式の場で公開されたみたいなんで、
多分よさげな気がしないでもないんだが……


ちなみに、MAJI君から俺にタレこまれる情報というと、当然あれです。


でも、○○○の○○(○○○○)が出来たとき、
○○氏が○○○に「○○○○○○が出てれば○○○○になったのに」
と嫌味を言われた、という秘密は墓場まで持っていかざるを得まい。
本人のプライバシーに関することだしなあ。
っていうかこの伏字、MAJI君以外に埋められるやつはまず居まい。

2006年07月23日

忍法帖一言感想

唐突に忍法帖シリーズの一言感想を列挙してみる。

<甲賀忍法帖>
全ての始まり。第一の忍法帖だが(むしろそれゆえか?)一番バランスのとれた内容の良作。

<江戸忍法帖>
駄作。

<飛騨忍法帖>
最後の展開がやや鬱。
あと、自分に惚れて追いかけてきた女たちを、
邪魔だからだけの理由で良心の呵責なく殺す主人公ってどうよ?

<くノ一忍法帖>
知らない人には色々と誤解されがちみたいだけど、内容のバランスはかなりよい良作。

<忍者月影抄>
全作中忍法が最もアイデアフルだが、
逆に言うとそれだけで終わってるような気がしないでもない。

<外道忍法帖>
忍者の数だけはNo.1。でも多けりゃいいってもんじゃない。

<忍法忠臣蔵>
無明綱太郎が超カッコイイ。
あと、対象を体内からバラす忍法(名称不詳)が最高。

<信玄忍法帖>
主要格キャラよりも、実在人物のゲストキャラの方が光ってるような。
伊勢守最強伝説の幕開け。

<柳生忍法帖>
十兵衛三部作その1。
終盤、鶴ヶ城に単身乗り込んでタンカを切った時の十兵衛は神。

<風来忍法帖>
序盤で香具師が女たちを食い物にしてなければ、最高に光ってたんだがなあ。
一人の姫を助けても、お前ら何十人もの女を犠牲にしてきてるんだからな。
まあ、名作だとは思うんだけど。

<伊賀忍法帖>
終盤、伊勢守が一人でおいしいところを持っていったような気もする……
内容自体はかなり面白い。

<忍法八犬伝>
ラストの光景の美しさは、某ラノベ作家もイチオシらしい。

<自来也忍法帖>
最後の「自ラ来ル也」にシビれる。

<魔界転生>
十兵衛三部作その2。
自他共に認める最高傑作……なんだけど、俺的には中の上。

<魔天忍法帖>
ステアウェイ・トゥ・ヘブン(別名メイド・イン・ヘブン)でタイムスリップ。
でも本当の元ネタは永劫回帰論なのよね。
しかし、本当の驚異はラストに待ち構えているのだった……今やったら顰蹙モノのアレ。

<忍びの卍>
俺的最高傑作。むしろ人類史上最高空前絶後の傑作。
虫籠右陣は誰がなんと言おうが神。
読んでないやつはとにかく読めッ!
うちに三冊ある。

<忍法剣士伝>
伊賀忍法帖の続編。タイトルだけで売れたという逸話を持つ一品。
つまり、内容は微妙。
居合い対居合いの勝負だけは好き。

<笑い陰陽師>
忍びの卍と双璧をなす最高傑作。
怪獣ダンゴン現る。

<天の川を斬る>
タイトルが最高にカッコイイのに、途中から『銀河忍法帖』に改題されてるのよね。
無理して『忍法帖』にせんでも……
中盤までの無頼漢モード六文銭もいいんだけど、
それが終盤、時々ヴェールを脱ぐあたりにはシビれる! あこがれるゥ!

<秘戯書争奪>
最初の20~30ページくらいで終盤までの展開が99%まで分かる。
最後の1%は微妙?

<忍法封印>
天の川を斬るの続編。
忍法封印解除したおげ丸は神。
フリーザをバラバラにしたトランクスよりも強い。バランス崩壊。

<忍者黒白草紙>
塵ノ辻空也とはいい友人になれそうだ。

<海鳴り忍法帖>
果心居士にすら後れをとらなかった伊勢守様の株が大暴落な一冊。

<妖の忍法帖>
個人的にはかなり好きなんだけど、世評はそれほどでもないのだろうか。
もうちょっと再版してもよかろうに。

<忍法創世記>
あまりに駄作過ぎるために作者が単行本化を拒んだという逸話が有名な一冊。
内容はそれほど悪いとは思わないのだが、
かといってそれほど面白いと思わないのも事実。
『武蔵野水滸伝』にも見られた、
「パーティメンバーの複雑化が話の面白さにあまり繋がっていない」
という問題点が出ている気がする。


時間が出来たら各作じっくり語りたいものである。

2006年07月04日

共感できる人

人の世はつじつまが合わぬゆえに。――人の心はひとすじ縄で律すべからざるゆえに
「では、何びとも正邪の断を下してはならぬというのか」
「いや、それはよろしい。それは自由だ」
「おまえは何を言っているのだ」
「ただ、権力ある人間がそうしてはならぬというのだ。
 いや、それも自由だ。
 ただ正邪の断を下して、それによって鉄鞭をふるってはならぬというのだ」
――忍者黒白草紙より

『自分に似た人』―顔とか姿とかではなくて、
山田風太郎の小説とかを読んでると
「オオ、この人と同じだよ。オレはァァァ」とか感激して、
その気になって勇気がわいてきたりする。

塵ノ辻空也という忍者黒白草紙に登場した忍者がいたんですけど、
この人、世の中はつじつまの合わぬものと考えて鳥居甲斐守に逆らったらしい。
「自分と同じだよォ、人は人でいいじゃないかよォォォォッ、
 人のやる事に口出すやつは嫌いだよォォ」
そう思った。

2006年03月23日

幻燈辻馬車

吐き気をもよおす『邪悪』とはッ!
なにも知らぬ無知なる者を利用することだ……!!
自分の利益だけのために利用することだ…
壮士が何も知らぬ『俥夫』を!!
てめーだけの都合でッ!
ゆるさねえッ! あんたは今ッ!
オレの心を『裏切った』ッ!