吉原御免状
読破。
回想長すぎ。以上。
……これだけでは短すぎるので、ちょっと具体的に。
『一夢庵風流記』でもなんとなく感じたのだが、
どうもこの人の小説の主人公は『高潔過ぎる』ような気がする。
誠一郎なんかの場合は、生まれは天皇の隠し子、
宮本武蔵を師に持つ絶対無敵の剣の麒麟児、
人格は清廉潔白そのもので周りの人を惹きつけてやまない。
いい奴っちゃあいい奴なんだけど、あまりにも隙が無さ過ぎる。
前田慶次郎にしても、豪快磊落なかぶき者、という設定ではあるのだが、
この男も根本的なところでどこか、清廉過ぎるような印象があった。
いくさでは鬼神の如き力を揮うが、
ただの野蛮人ではなく、芸も解する風流人って感じで。
正直に言っちゃうと、あれらの主人公がなんか偽善者くさく感じてしまった。
(ちなみに山岡荘八作品あたりでも同じことを思った)
この小説は、俺が心の中で駄作認定している忍法帖の一つ、
『江戸忍法帖』とかなり似た雰囲気を持っているようなのだ。
江戸忍法帖の主人公、葵悠太郎にしても、
生まれは前将軍の御落胤、剣の天才、人格は清廉潔白、
己のためには立たざるが、無辜の子供を殺した非道の敵に刀を振るう男。
いい奴である。いい奴なんだけど、面白みがない。
ストーリーにしても然り。
あんまり面白みの無い単純なハッピーエンドである。
隙の無い人間が順当に話に乗っかって、順当に幸せになるだけのラストなのだ。
俺の大好きな終わり方としては、マイフェイバリット小説『忍の卍』なのだが……
(生真面目な主人公・椎ノ葉刀馬が、
あまりにも生真面目すぎて、恋人に逃げられて割腹する、
などというロクでもないオチ)
ひねくれ過ぎだろうか?
まあなんにせよ、もうこの人の小説は読まないだろうなァという話。